葵之万

ゆるりと漫画や映画の紹介をば。

オススメ漫画 vol.04 『ボクラノキセキ』

剣と魔法の世界から現代へ逆転生?

はいどうも。
もう年末ですねぇ。
今回ご紹介する漫画は、
コミック ZERO-SUMにて連載中、久米田夏緒 作 『ボクラノキセキ』。

最近流行りの異世界転生モノ……とは逆に、剣や魔法の活躍するファンタジィな世界から、現代の世界へと転生を果たした高校生達の物語となっております。


主人公は、物語序盤で告っちゃうアグレッシヴな高校一年生、皆見晴澄くん。
一見ただの高校生ですが、幼い頃から前世の記憶を持っていました。
前世での彼は、ゼレストリアという国の王女「ヴェロニカ」。
しかもただの国ではなく、当たり前の様に魔法が存在する、異世界の王国でした。
小さい頃から前世の記憶があった為、前世の世界と現代との価値観のズレや、自身の異常性による社会との摩擦に悩まされていましたが、数々の衝突はあったものの、なんとか自分の記憶や気持ちに折り合いをつけながら高校生になります。

好きな人に告白したり、彼女が出来たり、順調に現代の高校生ライフを送っていたある日、そんな生活を一変させる出来事が起きます。
ちょっとした事故で、晴澄がゼレストリアの言語で書き溜めていたメモが、多くのクラスメイトに見られてしまうのです。
その場は適当な嘘で誤魔化した晴澄でしたが、事件が起きたのはその暫く後。
放課後の学校で、晴澄の中学時代からの友人、上岡紗耶が何者かに魔法で襲われ、怪我を負ってしまいます。
異常を察した晴澄は直ぐにその場に駆けつけ、魔法による激しい抵抗を受けるも、なんとか犯人を取り押さえます。
犯人は、晴澄のノートに書かれていたゼレストリアの文字を見た事をきっかけに前世の記憶が蘇り、極度の混乱に陥っていた晴澄のクラスメイトでした。


しかし事件はここで留まりませんでした。
晴澄のノート、魔法による傷害……この二つを呼び水に、多くの人間が前世の記憶に目覚めます。
彼等は皆、前世でヴェロニカの城に居た者……そこで隣国であるモースヴィーグに攻め込まれ、命を落としたゼレストリア人、又はその戦いの最中で死んだモースヴィーグ人でした。
戦地に居た記憶から、PTSDの様な感覚に陥り、興奮状態で暴れ出す者、モースヴィーグ人を敵視し、糾弾する者、他の転生者を見つける為に強引な手段を用いようとする者……様々な人間が現れ、誰が敵なのか味方なのか、そして前世で何者だったのか、何もかも謎だらけの中、晴澄は襲われた上岡紗耶のような犠牲者を出さない為、そして過去のモースヴィーグ侵攻の真実を知る為に立ち上がります。

沢山のキャラクターから推しを見つけろ!

前世から沢山の人間が転生し、物語に関わっている為、個性豊かな登場人物が非常に多いのもこの作品の魅力です(登場人物が多過ぎて、似た外見の人が居ると誰が誰だか分からなくなったりもするけれど)。
多くの登場人物の中からお気に入りを見つけるのも、本作の楽しみ方の一つかもしれないですね。
私の推しキャラは晴澄の彼女、高尾春湖です。

少しふわっとした、不思議系な雰囲気のある女の子でしたが……

前世の記憶に目覚めると性格が一変。
前世は王女ヴェロニカ直属の近衛騎士だった為、堅苦しい口調で喋り、バットを持ち歩く武闘派に様変わりしてしまいます(笑)
多分、物語中で一番前世の記憶で変貌している人の気がしますね。
前世は王女である彼氏、前世は王女の近衛騎士の彼女……なんか萌えるカップルじゃ無いですか?
記憶に目覚めてからは、王女の騎士として晴澄の傍に居たいのか、晴澄の彼女として傍に居たいのか葛藤したり、ヴェロニカの想い人と噂される、見習い騎士グレンに嫉妬を覚えたり……色々といじらしく、可愛いです。

逆転生から始まるミステリー

ファンタジーな世界から転生してきた為、殆どの転生者は魔法を扱えますが、本作はバトル漫画ではありません。
勿論魔法を使った衝突は何度もありますが、この作品のメインは前世の出来事の謎と、現代に転生した人々の様々な想いが交錯するミステリー、群像劇です。
転生者は姿形は勿論、性別までも前世と違っていたりする為、クラスメイトの誰がどんな人間なのか分からず、名乗りを上げたとしても、何かしらの思惑で虚偽の申告をしている可能性もあり、新たな登場人物が現れる度にハラハラします。
序盤はそれが顕著で、次々と新たな転生者が現れ、怒涛の勢いで展開していくので、先が気になってページを捲る手が止まりません。
zero-sumと言うと女性向けな作品が多いですが、こちらの漫画もまた、男性でも十分に楽しめる漫画です。
正直女性向けな描写も要素もあまり感じませんね。
王道からは外れた、割と珍しいタイプの設定の物語なので、今まで読んだ事のないジャンルの作品を探している人にもオススメしますよ。


今作もdmmでレンタルありました。
取扱作品幅広いっすねー。


e bookでも試し読み、電子版購入できるようです。